ポマードとは?ジェル・ワックス・グリースとの違い&失敗しない選び方 - Vol.1
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ポマードとは?
1920年代のアメリカン・バーバーショップ——ラジオが置かれ、男たちが集う社交の場だった(Library of Congress所蔵、パブリックドメイン)
この記事でわかること:ポマードの定義と語源 / 油性・水性(グリース)の違い / ヘアワックス・ジェルとの違い / 歴史と現代への進化 / あなたに合うタイプ診断チャート / KIOSQ取扱ブランドの特徴
ポマードとは? — 定義・種類・語源
油性ポマードと水性ポマードの違い
ポマードは、何をベースに作られているかで性格が大きく変わります。「新しい水性が優れている」わけではなく、濡れたようなツヤと直しやすさなら油性、扱いやすさと洗い落としやすさなら水性、と目的で選ぶものです。
| 項目 | 油性ポマード | 水性ポマード(日本では「グリース」) |
|---|---|---|
| 主成分 | ワセリン・鉱物油・蜜蝋などの油分/ワックス | 水・グリセリン・整髪用ポリマー(PVP等) |
| セット感・直しやすさ | 一日中固まらず柔らかいまま。手やコームで何度でも整え直せる | 乾くとしっかり固定。直すときは水を足して再びなじませる |
| ツヤ | 強いツヤが長時間持続 | 処方によりツヤ〜マットまで幅広い(乾くとツヤは引きやすい) |
| 落としやすさ | 水に溶けにくく、シャンプーを数回要することも | 水で洗い流しやすい |
| 湿気・熱 (一般的傾向) |
熱に弱く、湿気に強い | 熱に強く、湿気に弱い |
「グリース」とは何か — 日本と海外で逆の意味
日本で水性ポマードは「グリース」と呼ばれます。そのきっかけは、東京・文京区の阪本高生堂(1912年創業)が1970年代に開発した水溶性の「クールグリース」。油性ポマードの“シャンプーでも落ちにくい”という悩みに応えて生まれ、水性ポマードの原型・先駆けとされます。この製品名が広く定着した結果、日本では「グリース=水で落とせる水性タイプ」という認識が根づきました。
一方、海外で “grease” は、むしろ油性寄り・1950〜60年代のグリーサー文化を思わせるニュアンスで使われることが多く、日本の「グリース=水性」とは語感が逆になります。同じ言葉でも国によって指すものが違う——これがポマード選びで混乱しやすいポイントです。日本では2010年代のバーバーカルチャーの高まりとともに、「グリース」という呼び名の認知が一気に広がりました。
→ ポマードとグリースの違いを、日本と海外の逆転史からさらに詳しく
語源は「リンゴ」
「ポマード(pomade)」という言葉は、フランス語 pommade(16世紀「軟膏」)→イタリア語 pomata(pomo=リンゴ)→ラテン語 pomum(果実・リンゴ)と遡ります。その昔、軟膏に香りづけとしてすりつぶしたリンゴを練り込んでいたことに由来する、という説を主要な語源辞典(Merriam-Webster / Etymonline)が支持しています。
※「ラテン語 pomum から直接」と説明されることもありますが、正確にはイタリア語 pomata を経由した派生です。
ポマードの歴史
1920〜50年代、バーバーショップはポマードとともに全盛期を迎えた(Library of Congress所蔵、パブリックドメイン)
このブームが整髪料市場に与えた影響は絶大だった。カリスマ美容師たちが毛先を削いでレイヤーを入れ、「毛束をねじって動きを出す」スタイルを提案したことで、固まらず何度でも整え直せるヘアワックスがサロン発信で一気に普及。2000年代に入るとヘアワックスは整髪料市場の主役となり、「ワックスで毛束をネジネジする」スタイリングが若者の定番になった。マンダムの「ギャツビー ムービングラバー」(2006年発売)はその象徴的な製品だ。一方、ポマードやグリースはこの時代に「時代遅れの整髪料」として若年層から遠ざかり、バーバーショップ文化と一体となって徐々に周縁化される。
クリーン派:天然成分・ヴィーガン処方を主軸に、「何を使っているか」でブランドを定義。O'Douds(2014年)、FIRSTHAND がその代表。
ジェルグリース派:クールグリースが切り拓いた水性ジェルグリースの系譜を継ぎ、バーバーショップ向けの高いセット力とツヤ感を独立系ブランドとして再解釈。Bonafide(2012年)、JS Sloane がその代表。
ポマードの種類と特徴
現代のポマードは仕上がりの質感(ツヤ vs マット)とテクスチャーによって5つのカテゴリーに分類されます。KIOSQが取り扱う製品はすべて水性(ウォーターベース)なので、いずれもシャンプーで簡単に洗い流せます。
クールグリースが確立したジェル型水性整髪料の系譜。高いツヤ感と強いセット力を持ちながら水で洗い流せる。スリックバックや七三分けなど、タイトにまとめるバーバースタイルに最適。
ジェルグリースとワックスのいいとこ取りをしたタイプ。ナチュラルなツヤを保ちながら、タイトなスリックバックから毛先を動かすルーズなスタイルまで一本で対応できる汎用性が最大の特長。乾いた状態でも指で整え直せる再整髪性と、天然・植物由来成分ならではの保湿ケアも兼ね備えた万能タイプ。
カオリンなどのクレイ成分が根元から髪を立ち上げ、ボリュームとリフトを生み出す。マットな仕上がりでナチュラルな動きを出したいときに最適。BONA FIDE・JS Sloane・FIRSTHANDがそれぞれ個性的なクレイ製品を展開している。
石油(ペトロラタム)やミツロウを主体とした伝統的ポマード。圧倒的なツヤと強いセット力が特長だが、シャンプーで落ちにくく、複数回洗い必要。Murray'sやBrylcreem などが代表。
ポマードとワックス・ジェルの違い【比較表】
ひとことで言えば、ポマードは「ツヤと再整髪性を同時に実現する」唯一のカテゴリー。ワックスはマットな質感で毛先の動きを、ジェルはウェットなツヤと固定を得意とします。さらにポマードはジェルグリースとクリームの2タイプで、全く異なるポジションを持ちます。
ポマードとワックスの違い
最大の違いは仕上がりの方向性です。ポマードはツヤを出しながらコームで端正にまとめるのが得意で、ワックスはツヤを抑えたマットな質感で毛束を動かすのが得意。きっちり系ならポマード、無造作な動きならワックスが向きます。
ポマードとジェルの違い
違いは「固まりきるかどうか」。ジェルは乾くとパリッと固まり整え直しが難しいのに対し、ポマードは乾いたあとも形を直せる可塑性を残します(水性は水を足して再度なじませます)。下の表で質感・セット力・再整髪性・洗い落としを一覧にしました。
左:ジェルグリースタイプ(BONA FIDE スーパーホールド)/右:クリームタイプ(O'Douds スタンダードポマード)
| ポマード ジェルグリース |
ポマード クリームタイプ ★ |
ヘアワックス | ヘアジェル | |
|---|---|---|---|---|
| ツヤ感 | 高ツヤ・グロス | ナチュラル〜セミグロス | マット〜セミマット | ウェットグロス |
| セット力 | 強 | 中〜強 | 弱〜中 | 強(固まる) |
| スタイルの幅 | タイトなクラシックスタイル向き | タイトなセットから毛先を動かすルーズスタイルまで対応 | 毛先の動き・無造作 | ウェットスタイル・ハードセット |
| 🔑 再整髪 | ○ 水をつければ直せる | ◎ 乾いた状態でも指で自由に直せる | △ 乾燥後は崩れる | × 固まると直せない |
| 洗い落とし | ◎ | ◎ | △ 落ちにくい | ○ |
| 使用感・仕上がり | しっとり重め | なめらか・軽い付け心地 | ドライ | パリッと硬め |
| 代表商品 | Bonafide、JS Sloane | O'Douds、FIRSTHAND | — | — |
あなたに合うポマードのタイプは?
KIOSQが取り扱うポマードは、仕上がりの質感・セット力・髪への働きによって4つのタイプに分類されます。2つの質問に答えるだけで、あなたの髪質・好みに合った最適なタイプと具体的な商品がわかります。
あなたに合うポマードの種類は?
2つの質問に答えるだけで最適なタイプがわかります
仕上がりのツヤ感はどちらが好みですか?
見た目の好みや使うシーンで選んでください
どのくらいのセット力が必要ですか?
スタイルのキープ力や髪の硬さ・使うシーンで選んでください
マットでどんなスタイルを作りたいですか?
仕上がりのイメージで選んでください
KIOSQが取り扱うポマードブランド
KIOSQでは「天然成分・確かな品質・自分らしいスタイル」という哲学を共有する4つのアメリカ発クラフトブランドを日本正規代理店として取り扱っています。
2014年、創業者 Clay Douds がテキサス州ヒューストンのキッチンで少量バッチを手作りしてスタートした完全独立系ブランド。完全ヴィーガン・石油不使用・天然成分のみを徹底し、現在もヒューストン自社ラボで全製品をハンドメイド生産しています。Clay Douds 自らがブレンドする独自の天然香料(シダー×オレンジ、ベイラム×ブラッドオレンジなど)はコアファンの間で特に評価が高く、世界中のバーバーショップやセレクトショップで取り扱われています。
「自分の肌に合う、安心して使える製品がなかったことがブランドの出発点」——2016年、Josh Hester と Filipe Inancio が50回以上の試作を経てキッチンで最初のフォーミュラを完成させ、2017年に会社化。処方開発から製造まで完全自社管理することで、他社が真似できない品質水準と透明性を実現しています。パッケージには100%再生プラスチック(PCR)を使用するなど、サステナビリティへのコミットメントも本格的です。クレイポマードはGQ誌から「Best Men's Hair Clay」に選出されており、ホテルのアメニティとしても採用されるブランド認知度を誇ります。2024年にはブランドアイデンティティを刷新し、「Firsthand Supply」から「Firsthand」として新章をスタート。
2012年、ニューヨークのJoann KunoとミュージシャンのSmutty Smiffが共同創業。ブランド名の「JS」はふたりのイニシャル、「Sloane」はSmuttyの地元ロンドンのSloane Squareに由来します。ふたりが共有していたのは、1930〜40年代のハリウッド黄金期へのリスペクト。スーツを誂え、ストレートシェービングを楽しみ、細部にまで気を配る「現代のダッパー紳士」のために、グルーミングをひとつの儀式として再定義しました。製品のコアはブリリアンチン(Brilliantine)——ヴィンテージポマードのホールド感とツヤをそのままに、水で簡単に洗い流せるよう現代的に再設計したジェルグリースです。
JS Sloaneの商品を見る →「誠実な製品づくり」を意味するブランド名の通り、2012年カリフォルニア州サンタアナで Luis Moreno が創業したファミリービジネス。移民として渡米した Moreno が「大げさな主張をしない、正直で使えるポマード」を目指して小バッチ生産を続け、現在も自社店舗 Bona Fide Store & Barbershop を拠点にアメリカ国内製造にこだわっています。Instagramで自ら「Immigrant owned and operated」と掲げるそのスタンスが世界中のポマードファンの信頼を獲得し、日本向け公式アカウント(@bonafidepomade_jp)も存在するほど日本でも人気を集めています。
よくある質問
あなたに合うポマードを見つける
O'Douds・FIRSTHAND・JS Sloane・Bonafideを
日本正規代理店として取り扱っています
参考:Merriam-Webster / Etymonline(pomade 語源)、Wikipedia(Pomade / 阪本高生堂)、阪本高生堂「クールグリース」、O'Douds 公式「Our Roots」、GQ US「Best Pomades for Men」