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ポマードとグリースの違いとは?日本と海外で逆になる理由 - Vol.3

KIOSQ Journal/Vol.3|グリースとの違い
「グリースとポマードって何が違うの?」——実はこれ、日本と海外で答えが逆になる、少しややこしいテーマです。日本で「グリース」といえば水で洗い流せる水性ポマードのこと。この記事では、その理由を歴史からひもとき、油性ポマードとの実際の違い・選び方までまとめて解説します。
「グリース」「水性ポマード」「ジェルグリース」…呼び方が多くて混乱しがち。じつは今、整髪料はハイブリッド製品が増え、カテゴリーの境界そのものが曖昧になっています(→ なぜ曖昧になったのか)。でも"グリース"については、押さえるポイントは1つだけ。この記事でスッキリ整理します。

結論:日本の「グリース」=水性ポマード

日本で「グリース」とは、水で洗い流せる水性ポマードを指す呼び名です。油性ポマードの「落としにくさ」を克服して生まれたタイプで、海外で油性寄りのポマードを指す “grease” とは、意味がほぼ逆になります。つまり「ポマードとグリースは別物」ではなく、グリースはポマードの一種(水性タイプの日本での通称)と考えるのが正確です。

整理すると、ポマードという大きなカテゴリーの中に「油性」と「水性」があり、その水性のほうを日本では『グリース』と呼び慣わしている——という関係です。まずはこの一点を押さえると、店頭やネットの表記に迷わなくなります。

なぜ日本と海外で意味が逆になるのか

この“ねじれ”は、日本のある製品の歴史に理由があります。

きっかけは1970年代の「クールグリース」

東京・文京区の阪本高生堂(1912年創業)が1970年代に開発した水溶性の「クールグリース」。当時、油性ポマードの“シャンプーでも落ちにくい”という不便を解消するために生まれた整髪料で、水性ポマードの原型・先駆けとされます。この製品名が広く定着した結果、日本では「グリース=水で落とせる水性タイプ」という認識が根づきました。

海外の “grease” はむしろ油性寄り

一方、英語圏で “grease” は、1950〜60年代のグリーサー文化を思わせる油性寄りのニュアンスで使われることが多い言葉です。同じ「グリース」でも、日本では水性、海外では油性寄りと、指すものが逆になっている——これが混乱の正体です。日本では2010年代のバーバーカルチャーの高まりとともに、「グリース」という呼び名の認知が一気に広がりました。

豆知識 — ポマードの語源は「リンゴ」 「ポマード(pomade)」の語源をたどると、実は「リンゴ」にたどり着きます。語源のくわしい話(フランス語→イタリア語→ラテン語の変遷)は ポマードとは? で解説しています。
現代のヘアサロンの店構え
現代のヘアサロン(Library of Congress・PD)
屋外での顔そり
屋外での顔そり(Library of Congress・PD)

「グリース」の呼び方を整理する

グリースは呼び方のバリエーションが多く、それ自体が混乱のもとになっています。ここで一度、言葉を整理しておきましょう。

グリース/ヘアグリース

日本での水性ポマードの通称。バーバーやドラッグストアで最も耳にする呼び名です。

水性ポマード/水溶性ポマード

成分(水ベース)に着目した呼び方。中身は「グリース」とほぼ同じで、水で洗い流せるタイプを指します。

ジェルグリース

水性の中でも、ツヤと強めの固定を出すタイプの通称。同じグリースでも仕上がりの方向性が違います。

つまり「グリース」「水性ポマード」「水溶性ポマード」は、ほぼ同じものを指す言い換え。店頭やネットで表記が違っても、中身は"水で洗い流せる水性タイプ"だと考えて大丈夫です。

油性ポマードと水性ポマード(グリース)の違い

「日本のグリース=水性ポマード」を踏まえて、油性ポマードとの実際の違いを見てみましょう。どちらが優れているというより、目的で選ぶのがポイントです。

項目 油性ポマード 水性ポマード(=日本の「グリース」)
主成分 ワセリン・鉱物油・蜜蝋などの油分/ワックス 水・グリセリン・整髪用ポリマー(PVP等)
セット感・
直しやすさ
一日中固まらず柔らかいまま。手やコームで何度でも整え直せる 乾くとしっかり固定。直すときは水を足して再びなじませる
ツヤ 強いツヤが長時間持続 処方によりツヤ〜マットまで幅広い(乾くとツヤは引きやすい)
落としやすさ 水に溶けにくく、シャンプーを数回要することも 水で洗い流しやすい
湿気・熱
(一般的傾向)
熱に弱く、湿気に強い 熱に強く、湿気に弱い
ここが分かれ目:油性は「濡れたようなツヤ」と「水なしで何度でも直せる手軽さ」。水性(グリース)は「水で洗い流せる扱いやすさ」と「乾いてからのしっかり感」。日本で近年主流なのは、扱いやすい水性(グリース)のほうです。

どちらを選べばいい?

水性グリース
水で落とせて扱いやすい人へ
  • その日のうちに水で洗い流したい
  • 毎日気軽に使いたい
  • ベタつかず扱いやすいのが良い
  • ツヤ〜マットまで幅広く選びたい
王道のジェルグリースBonafide スーパーホールドBonafide スーパーホールド
油性ポマード
濡れツヤ・長時間キープ重視の人へ
  • 濡れたような強いツヤを長時間
  • 水を使わずコームで整え直す
  • クラシックな仕上がり重視
※洗い流しにシャンプーを数回要することも。当店の取り扱いは水性のみです。

グリースにまつわる3つの誤解

誤解①「グリース=ベタベタする」

ベタつくイメージは、油性ポマードの記憶から来ています。水性グリースは水ベースで、乾けばベタつきは残りにくく、水で洗い流せます。

誤解②「グリース=昔の整髪料」

むしろ逆です。水性グリースは2010年代のバーバーカルチャーで再評価され、いま主流のスタイリング剤のひとつになっています。

誤解③「グリースはどれも同じ」

同じ水性でも、ツヤと固定の強いジェルグリース系と、ナチュラルなクリーム系で仕上がりは大きく変わります(次のラインアップ参照)。

いまの立ち位置:1990〜2000年代はワックスが主役となり、ポマードやグリースは一度周縁に退きました。しかし2010年代以降、独立系ブランドによる“サードウェーブ”とともに、水で洗い流せる水性ポマード(グリース)が再び支持を広げています。

「グリースが苦手だった人」への再入門

「ベタつく」「重い」「落ちにくい」——昔の油性グリースのイメージで敬遠していた人こそ、いまの水性グリース(水性ポマード)を。水で洗い流せて、仕上がりの軽さも選べます。苦手意識のポイント別に、入りやすい一本を選びました。

「ベタつき・重さ」が不安なら ― まずは軽い一本から

クリーム質感で軽く、つけ心地の重さを感じにくいタイプ。少量から試せて、失敗しにくい入口です。

「クラシックなツヤ」は欲しいなら ― でも夜は洗って落とせる

濡れ感のあるツヤと固定はしっかり。それでいて油性と違い、その日のうちにシャンプーで落とせるのが水性グリースの強みです。

香りで選ぶなら|同じ水性グリースでも、ブラッドオレンジ(O'Douds スタンダード)やオークウッド・バニラ(JS Sloane スーペリア)など、柑橘からウッドまで幅があります。 系統別の一覧は 図鑑「香りで選ぶ」 に。
マットに仕上げたいなら、カオリン・ベントナイト配合のクレイ系(FIRSTHAND クレイポマード〈米GQ「Best Men's Hair Clay」選出〉ほか)も。詳しくは ポマードとワックスの違い で解説しています。

よくある質問

ポマードとグリースの違いは?
日本では「グリース」は水性ポマードを指す呼び名です。ポマードという大きなカテゴリーの中の「水性タイプ」を、日本ではグリースと呼び慣わしています。別物ではなく、グリースはポマードの一種です。
日本のグリースと海外のグリースは同じもの?
意味がほぼ逆です。日本では「グリース=水で落とせる水性ポマード」を指しますが、海外の grease は油性寄り・グリーサー文化を思わせるニュアンスで使われることが多い言葉です。
グリースは水で落ちますか?
水性ポマード(グリース)は水で洗い流しやすいのが特徴です。油分・ワックスが主成分の油性ポマードは水に溶けにくく、落とすのにシャンプーを数回要することがあります。
グリース(水性)は剛毛・くせ毛でも決まる?
はい。セット力の強いタイプを選べば剛毛でもしっかり留まります。くせ毛は広がりが出やすいので、ツヤ・保湿のあるタイプを半乾きの髪になじませると面がまとまりやすくなります。
グリースの匂いは一日残る?
製品によって香りの強さは様々です。精油・植物由来で調香されたものは穏やかで、時間とともに和らぐタイプが多め。香りを重ねたくない・仕事で控えたい場合は無香料タイプという選択肢もあります。
日本の「グリース」はいつからある呼び方?
東京の阪本高生堂が1970年代に水溶性の「クールグリース」を開発し、これが水性ポマードの先駆けとされます。この製品名が広まったことで「グリース=水性タイプ」という呼び方が定着し、2010年代のバーバーカルチャーの高まりで認知が広がりました。

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Vol.4ポマードとワックスの違い
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参考:阪本高生堂「クールグリース」/Wikipedia(Pomade/阪本高生堂)/Merriam-Webster・Etymonline(pomade 語源)。本記事は整髪料の一般的な特徴をまとめたもので、効果には個人差・製品差があります。

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