ポマードとグリースの違いとは?日本と海外で逆になる理由 - Vol.3
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結論:日本の「グリース」=水性ポマード
整理すると、ポマードという大きなカテゴリーの中に「油性」と「水性」があり、その水性のほうを日本では『グリース』と呼び慣わしている——という関係です。まずはこの一点を押さえると、店頭やネットの表記に迷わなくなります。
なぜ日本と海外で意味が逆になるのか
この“ねじれ”は、日本のある製品の歴史に理由があります。
きっかけは1970年代の「クールグリース」
東京・文京区の阪本高生堂(1912年創業)が1970年代に開発した水溶性の「クールグリース」。当時、油性ポマードの“シャンプーでも落ちにくい”という不便を解消するために生まれた整髪料で、水性ポマードの原型・先駆けとされます。この製品名が広く定着した結果、日本では「グリース=水で落とせる水性タイプ」という認識が根づきました。
海外の “grease” はむしろ油性寄り
一方、英語圏で “grease” は、1950〜60年代のグリーサー文化を思わせる油性寄りのニュアンスで使われることが多い言葉です。同じ「グリース」でも、日本では水性、海外では油性寄りと、指すものが逆になっている——これが混乱の正体です。日本では2010年代のバーバーカルチャーの高まりとともに、「グリース」という呼び名の認知が一気に広がりました。


「グリース」の呼び方を整理する
グリースは呼び方のバリエーションが多く、それ自体が混乱のもとになっています。ここで一度、言葉を整理しておきましょう。
グリース/ヘアグリース
日本での水性ポマードの通称。バーバーやドラッグストアで最も耳にする呼び名です。
水性ポマード/水溶性ポマード
成分(水ベース)に着目した呼び方。中身は「グリース」とほぼ同じで、水で洗い流せるタイプを指します。
ジェルグリース
水性の中でも、ツヤと強めの固定を出すタイプの通称。同じグリースでも仕上がりの方向性が違います。
油性ポマードと水性ポマード(グリース)の違い
「日本のグリース=水性ポマード」を踏まえて、油性ポマードとの実際の違いを見てみましょう。どちらが優れているというより、目的で選ぶのがポイントです。
| 項目 | 油性ポマード | 水性ポマード(=日本の「グリース」) |
|---|---|---|
| 主成分 | ワセリン・鉱物油・蜜蝋などの油分/ワックス | 水・グリセリン・整髪用ポリマー(PVP等) |
| セット感・ 直しやすさ |
一日中固まらず柔らかいまま。手やコームで何度でも整え直せる | 乾くとしっかり固定。直すときは水を足して再びなじませる |
| ツヤ | 強いツヤが長時間持続 | 処方によりツヤ〜マットまで幅広い(乾くとツヤは引きやすい) |
| 落としやすさ | 水に溶けにくく、シャンプーを数回要することも | 水で洗い流しやすい |
| 湿気・熱 (一般的傾向) |
熱に弱く、湿気に強い | 熱に強く、湿気に弱い |
どちらを選べばいい?
- その日のうちに水で洗い流したい
- 毎日気軽に使いたい
- ベタつかず扱いやすいのが良い
- ツヤ〜マットまで幅広く選びたい
Bonafide スーパーホールド→
- 濡れたような強いツヤを長時間
- 水を使わずコームで整え直す
- クラシックな仕上がり重視
グリースにまつわる3つの誤解
誤解①「グリース=ベタベタする」
ベタつくイメージは、油性ポマードの記憶から来ています。水性グリースは水ベースで、乾けばベタつきは残りにくく、水で洗い流せます。
誤解②「グリース=昔の整髪料」
むしろ逆です。水性グリースは2010年代のバーバーカルチャーで再評価され、いま主流のスタイリング剤のひとつになっています。
誤解③「グリースはどれも同じ」
同じ水性でも、ツヤと固定の強いジェルグリース系と、ナチュラルなクリーム系で仕上がりは大きく変わります(次のラインアップ参照)。
いまの立ち位置:1990〜2000年代はワックスが主役となり、ポマードやグリースは一度周縁に退きました。しかし2010年代以降、独立系ブランドによる“サードウェーブ”とともに、水で洗い流せる水性ポマード(グリース)が再び支持を広げています。
「グリースが苦手だった人」への再入門
「ベタつく」「重い」「落ちにくい」——昔の油性グリースのイメージで敬遠していた人こそ、いまの水性グリース(水性ポマード)を。水で洗い流せて、仕上がりの軽さも選べます。苦手意識のポイント別に、入りやすい一本を選びました。
「ベタつき・重さ」が不安なら ― まずは軽い一本から
クリーム質感で軽く、つけ心地の重さを感じにくいタイプ。少量から試せて、失敗しにくい入口です。
O'Douds スタンダードポマード質感はワックスに近く軽やか。程よいツヤで、重さが苦手な人の一本目に。→
O'Douds スタイリングトリートメントバーム感覚で軽く、ベタつきにくい使い心地。ナチュラルにまとめたい日に。→
FIRSTHAND オールパーパスポマード控えめな低ツヤで重く見えない万能タイプ。ツヤの重さが苦手な人の一本目に。→
「クラシックなツヤ」は欲しいなら ― でも夜は洗って落とせる
濡れ感のあるツヤと固定はしっかり。それでいて油性と違い、その日のうちにシャンプーで落とせるのが水性グリースの強みです。
Bonafide スーパーホールド濡れ感のあるツヤと強い固定。それでも水でスッと洗い流せる水性グリース。→
Bonafide サマーエディションツヤと固定はそのまま、軽やかな香りのエディション。クラシックな面づくりに。→
JS Sloane スーペリアホールド1930〜40年代のクラシックなツヤを水溶性で。夜はシャンプーで落とせる。→
よくある質問
KIOSQはGQ・各誌に掲載されています メディア掲載を見る →
参考:阪本高生堂「クールグリース」/Wikipedia(Pomade/阪本高生堂)/Merriam-Webster・Etymonline(pomade 語源)。本記事は整髪料の一般的な特徴をまとめたもので、効果には個人差・製品差があります。