水性ポマード(グリース)とバーバーショップ文化を象徴する1940年代の理髪店

ポマードとグリースの違いとは?日本と海外で逆になる理由

KIOSQ Journal/ポマードの基礎知識
バーバーショップとポマード(1940年代・Library of Congress所蔵)

水性ポマード=日本の「グリース」。その呼び名の由来を歴史からひもとく(写真:Library of Congress所蔵・パブリックドメイン)

「グリースとポマードって何が違うの?」——実はこれ、日本と海外で答えが逆になる、少しややこしいテーマです。日本で「グリース」といえば水で洗い流せる水性ポマードのこと。この記事では、その理由を歴史からひもとき、油性ポマードとの実際の違い・選び方までまとめて解説します。

結論:日本の「グリース」=水性ポマード

日本で「グリース」とは、水で洗い流せる水性ポマードを指す呼び名です。油性ポマードの「落としにくさ」を克服して生まれたタイプで、海外で油性寄りのポマードを指す “grease” とは、意味がほぼ逆になります。つまり「ポマードとグリースは別物」ではなく、グリースはポマードの一種(水性タイプの日本での通称)と考えるのが正確です。

整理すると、ポマードという大きなカテゴリーの中に「油性」と「水性」があり、その水性のほうを日本では『グリース』と呼び慣わしている——という関係です。まずはこの一点を押さえると、店頭やネットの表記に迷わなくなります。

なぜ日本と海外で意味が逆になるのか

この“ねじれ”は、日本のある製品の歴史に理由があります。

きっかけは1970年代の「クールグリース」

東京・文京区の阪本高生堂(1912年創業)が1970年代に開発した水溶性の「クールグリース」。当時、油性ポマードの“シャンプーでも落ちにくい”という不便を解消するために生まれた整髪料で、水性ポマードの原型・先駆けとされます。この製品名が広く定着した結果、日本では「グリース=水で落とせる水性タイプ」という認識が根づきました。

海外の “grease” はむしろ油性寄り

一方、英語圏で “grease” は、1950〜60年代のグリーサー文化を思わせる油性寄りのニュアンスで使われることが多い言葉です。同じ「グリース」でも、日本では水性、海外では油性寄りと、指すものが逆になっている——これが混乱の正体です。日本では2010年代のバーバーカルチャーの高まりとともに、「グリース」という呼び名の認知が一気に広がりました。

豆知識 — ポマードの語源は「リンゴ」 「ポマード(pomade)」はフランス語 pommade(16世紀「軟膏」)→イタリア語 pomata(pomo=リンゴ)→ラテン語 pomum(果実・リンゴ)に由来します。その昔、軟膏に香りづけとしてすりつぶしたリンゴを練り込んでいたことにちなむ、という説が主要な語源辞典で支持されています。

油性ポマードと水性ポマード(グリース)の違い

「日本のグリース=水性ポマード」を踏まえて、油性ポマードとの実際の違いを見てみましょう。どちらが優れているというより、目的で選ぶのがポイントです。

項目 油性ポマード 水性ポマード(=日本の「グリース」)
主成分 ワセリン・鉱物油・蜜蝋などの油分/ワックス 水・グリセリン・整髪用ポリマー(PVP等)
セット感・
直しやすさ
一日中固まらず柔らかいまま。手やコームで何度でも整え直せる 乾くとしっかり固定。直すときは水を足して再びなじませる
ツヤ 強いツヤが長時間持続 処方によりツヤ〜マットまで幅広い(乾くとツヤは引きやすい)
落としやすさ 水に溶けにくく、シャンプーを数回要することも 水で洗い流しやすい
湿気・熱
(一般的傾向)
熱に弱く、湿気に強い 熱に強く、湿気に弱い
ここが分かれ目:油性は「濡れたようなツヤ」と「水なしで何度でも直せる手軽さ」。水性(グリース)は「水で洗い流せる扱いやすさ」と「乾いてからのしっかり感」。日本で近年主流なのは、扱いやすい水性(グリース)のほうです。

どちらを選べばいい?

水性(グリース)が向いている人

毎日のスタイリングで気軽に使いたい、その日のうちに水で洗い流したい、湿気の少ない環境でしっかりキープしたい——という方には水性(グリース)が扱いやすい選択です。KIOSQが取り扱うブランドはすべて水性タイプで、水で洗い流せます。

油性が向いている人

とにかく濡れたような強いツヤを長時間キープしたい、水を使わずに一日中コームで整え直したい、というクラシックな仕上がり重視の方には油性が合います。ただし洗い流しにはシャンプーを数回要することがあります。

よくある質問

ポマードとグリースの違いは?
日本では「グリース」は水性ポマードを指す呼び名です。ポマードという大きなカテゴリーの中の「水性タイプ」を、日本ではグリースと呼び慣わしています。別物ではなく、グリースはポマードの一種です。
日本のグリースと海外のグリースは同じもの?
意味がほぼ逆です。日本では「グリース=水で落とせる水性ポマード」を指しますが、海外の “grease” は油性寄り・グリーサー文化を思わせるニュアンスで使われることが多い言葉です。国によって指すものが異なります。
グリース(水性ポマード)は油性ポマードと何が違う?
主成分が違います。油性は油分・ワックス、水性(グリース)は水とポリマーが中心です。水性は乾くとしっかり固定し水で洗い流しやすい一方、油性は固まらず何度でも整え直せて強いツヤが長持ちします。
グリースは水で落ちますか?
水性ポマード(グリース)は水で洗い流しやすいのが特徴です。油分・ワックスが主成分の油性ポマードは水に溶けにくく、落とすのにシャンプーを数回要することがあります。
日本の「グリース」はいつからある呼び方?
東京の阪本高生堂が1970年代に水溶性の「クールグリース」を開発し、これが水性ポマードの先駆けとされます。この製品名が広まったことで「グリース=水性タイプ」という呼び方が定着し、2010年代のバーバーカルチャーの高まりで認知が一気に広がりました。

水で洗い流せる、水性ポマード(グリース)

O'Douds・FIRSTHAND・JS Sloane・Bonafide を
日本正規代理店として取り扱っています

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参考:阪本高生堂「クールグリース」/Wikipedia(Pomade/阪本高生堂)/Merriam-Webster・Etymonline(pomade 語源)。本記事は整髪料の一般的な特徴をまとめたもので、効果には個人差・製品差があります。

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